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市民後見人養成講座(H26.9.27)

H26.9.27

(27)「後見開始から終了までの実務」~90分

(28)「財産管理と身上監護の実務」~90分

講師:大分よつば法務事務所
   認定司法書士 大野 祐介氏
 
◆後見開始から終了までの一般的な実務の概要について理解する。
Ⅰ.後見開始の審判の流れ
1.後見開始の審判の申立て
法定後見を利用するには、申立人が裁判所に、後見開始の審判の申立てを行う事が必要。
 
(1)家庭裁判所に後見開始の申立てができる人。
①本人、配偶者、4親等内の親族
②検察官
③未成年後見人、未成年後見監督人
④保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人
⑤任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人
市町村長
①~⑥以外の人は申立て人にはなれない。
(例)内縁の妻、友人、民生委員等
(2)申し立て先の裁判所
原則は本人の住所地を管轄する家庭裁判所
(3)申立てに必要な書類、費用
★申立書及び添付書類
①申立書
②申立事情説明書
③親族関係図
④本人についての資料
⑤申立人についての資料
⑥後見人候補者についての資料
⑦親族の同意書
★申立てにかかる費用~申立人の負担となる。
①収入印紙:3400円分
②郵便切手:4300円分
③鑑定費用:約5万~10万円
※家庭裁判所によって申立て手数料等が異なる場合があります。
2.申立て後の調査・審判
(1)面接
申立人及び後見候補者から事情聞取り。
(2)本人調査
本人から直接申立ての内容等について意見を聞き取り。
(3)審問
必要に応じて裁判官が直接本人や後見人候補者に事情や意見を聞くことがある。
3.鑑定
本人に判断能力がどの程度あるかを医学的に判定。
4.親族への意向照会
本人の親族に対し意向を照会する場合がある。その回答を参考にして審判がなされる。
5.家庭裁判所による審判
・家裁は調査や鑑定など必要な手続き後、後見等を開始する審判又は申立てを却下する審判をする。
・開始の審判の際には最も適任だと思われる人を後見人として選任する審判も出される。
・必要に応じて複数の後見人を選任する場合や、監督人を選任する場合もある。
6.審判の告知・通知
・後見開始の審判は、申立人や後見人に選任される人に告知。
・告知は「特別送達」という送達の事実を証明する特殊な郵便にて行われる。
・審判書が届いたら記載されている内容をよく確認する。
・審判書に基づき後見登記の嘱託が行われるので誤りを確認した場合は速やかに家裁に連絡する。
7.不服申立て(即時抗告)
・家裁の審判に対して不服がある場合は審判の告知を受けた日から2週間以内に抗告状を家裁に提出。
・誰を後見人に選任するかという審判内容に対しては不服を申し立てることは出来ない。
8.審判の確定
・審判が出されてから2週間の即時抗告期間を経過すれば審判が確定する。
9.家庭裁判所による後見登記の嘱託
~1週間程度かかる
・審判が確定すると、裁判所書記官から東京法務局に対し審判内容について後見登記の嘱託がなされる。
・この登記された内容を証明する書面が登記事項証明書。
・登記が完了すると家裁から「登記番号通知書」が送付される。
Ⅱ.就任時にするべきこと
1.後見登記事項証明書の取得
(1)後見登記事項証明書とは
・後見登記等ファイルに記載されている内容を証明する書類。
・被後見人、後見人、監督人の住所や氏名、後見人の権限の範囲等を証明するもの。
・金融機関との取引や、施設と入所契約を結ぶ時等、後見活動をする際に欠かせない書類。
 
(2)後見登記事項証明書の取得
登記事項証明書を取得するには、法務局に申請書を提出する。
 
2.本人に関する情報収集及び本人の財産状況の調査
(1)親族等からの情報収集、家裁での事件記録の閲覧・謄写請求
 
(2)本人や関係者からの情報収集
・本人の健康状態や介護状況等確認し、本人がどのような生活を望んでいるか把握する。
 
(3)財産状況の調査
(a)本人財産の占有の確保(物を事実上支配する状態のこと)
・引き渡しを受けた物品を列挙した書面を2部作成。1部は引き渡しを受けた相手、1部は後見人が保管。
・預り書、受領書を必ず相手に渡す。
(b)監督人が選任されている場合
・財産の調査及び財産目録を作成するにあたって、監督人の立会がなければその効力はない。
(c)不動産の調査
・登記済権利証や登記識別情報通知の記載を確認する。
・固定資産税の納税通知書や固定資産税の評価証明書も入手する。
(d)預貯金の調査
・どのような取引があるのか金融機関に照会する。
・金融機関へ届け出をする際に調査を行う。
・ゆう貯の確認もする。
(e)債務の調査
・不動産や預貯金のようなプラスの財産(積極財産)に限らず借金のようなマイナスの財産(消極財産)も調査する必要がある。
・消極財産については督促状や預金通帳の支払い欄の記載により確認できる。
・不明な自動引き落としについては金融機関に照会し相手を特定する。
 
3.本人に関するさまざまな機関への届出
①行政への届出
・健康保険に関わる届出
・介護保険に関わる届出
・障害福祉に関わる届出
・住民税に関わる届出
・固定資産税に関わる届出
・公的年金に関わる届出
いずれの届出にも登記事項証明書のほか、後見人の本人確認書類が必要。
②金融機関、証券会社への届出
・預貯金
・貸金庫
・株式等の有価証券
③保険会社への届出
④企業年金への届出
⑤入所・入院先、福祉事業所への届出
⑥債権者への届出
 
4.関係者への就任の挨拶又は通知
①親族への連絡
・親族とは適度な距離を保ちつつ、信頼関係を築いていく。
②近所への挨拶
 
5.郵便物の管理
・郵便物を後見人に転送する手続きを取ることは原則として認められていない。
・後見人には信書を開封する権限はない。
 
Ⅲ.財産目録の作成
1.財産目録の作成に関する規定
(1)財産目録とは
・財産目録で言う財産とは、資産と負債。
(2)財産目録は1か月以内に作成する。
※実務上は家裁が財産目録の提出期限を指定する。
(3)財産目録の作成期間の伸長
・期間内に提出できない場合には、その時点ですぐに提出が遅れる旨を家裁に連絡する。
(4)後見監督人が選任されている場合
・後見監督人の立会がなければ、財産調査・財産目録作成は効力を生じない。
※実務では後見人が調査し作成した財産目録を監督人がチェックする方法がとられている。
(5)後見人の権限
・財産目録の作成が終了するまでは、急迫の必要がある行為以外の行為を行うことはできない。
(6)財産目録を作成する為の準備
・通帳等については、それらを管理している人から引渡しを受ける。通帳がない場合は再発行の手続きをとる。
・ポイント①~⑧資料参照。
 
2.財産目録を作成する方法
※資料参照
Ⅳ.収支予定表の作成
※資料参照
Ⅴ.身上監護
・身上監護とは本人の精神・身体の状態や生活状況を把握し、本人の思いを尊重しながら、その人らしい毎日が送れるように生活の質に配慮し、医療・介護・福祉の生活全般の手配や契約を行うこと。
・これらを行うにあたっては、身上配慮義務と善管注意義務を負う。
(1)身分行為と事実行為
・後見人は「法律行為」のみをすることが出来る。「事実行為」や「身分行為」をすることは権限の範囲に含まれていない。
・法律行為~契約の締結、財産管理
・事実行為~送迎、買物、家事援助、介護行為
・身分行為~養子縁組・離縁、婚姻・離婚、認知
(2)身上監護の具体的内容
※資料参照
(3)後見人職務に含まれない事
※資料参照
 
Ⅵ.報告
1.後見人には報告義務がある
・後見人には家裁へ報告する義務がある。家裁から後見事務の報告を求められた後見人が、指定された期日を厳守して報告する事は当然の責務。
※報告書を提出しなかったらどうなるのか
・報告書を提出しない後見人に対して裁判所から辞任が勧告されることはもちろん、場合によっては解任されることもある。
 
Ⅶ.後見終了の手続き
1.終了の報告
・本人が死亡したことによって、後見は絶対的に終了する。後見人は2か月以内に後見事務の管理の計算をしなければならぬ。
★本人死亡による後見事務終了時の手続きの流れ
・家裁へ本人死亡の旨を連絡(速やかに電話連絡)
・後見終了の登記(申請先は東京法務局のみ)
・管理の計算・相続人への報告(2か月以内)
・家裁への報告(管理の計算も含む)
・報酬付与の申立て
・相続人への財産の引き継ぎ
・家裁への最終報告(財産の引き継ぎ完了)

(29)市民後見活動の実際~90分

講師:臼杵市市民後見センター
   支援員(市民後見人)陶山 明美氏
 
★後見開始迄の流れと活動の実際
①本人のキーパーソンから成年後見制度についての説明依頼。
②数回キーパーソンと面談後、本人確認実施。
③後見等の申立人は本人が行う(補助類型と想定)。
④「あんしんサポート」を利用しているので引き続き支援して欲しいとの要望。
⑤後見等候補者は社会福祉協議会にお願いしたいと、本人、キーパーソンから依頼される。
⑥医師の診断書は、補助類型。申立人(本人)へアドバイスしながら、申立書作成。
⑦審議会開催。支援員(市民後見人)陶山明美さんに決定。
⑧大分家裁へ補助開始申立書と代理権付与申立書提出。
⑨審判。
⑩登記番号通知書着。
⑪「あんしんサポート」解約、通帳の監理開始。
⑫財産調査
・土地の確認
・家屋の確認 清掃等 土地の権利書、保険証書等の確認
・墓石の確認
・通帳の名義変更
⑬挨拶
・キーパーソン
・長男、長女
・自宅地区の民生委員・区長
 
⑭他にも活動あるがここでは控えます。
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